上場準備に係るコストには、(1)上場準備中に発生するコスト、(2)上場申請時に発生するコスト、(3)上場後に継続的に発生するコストに分けられます。予算策定において(1)と(2)を合わせて見積もっておく必要があります。
利益計画自体に影響を与えることですので、余裕を持たせた見積が必要です。
(1)上場準備中に発生するコスト
上場準備段階でこれらの項目について予算に組み入れましょう。
| 上場準備期間に組み入れた予算<A社の事例> | |
|---|---|
| a.人件費(下記事例を使用) | 6000万円 |
| b.監査報酬 | 800万円 |
| c.引受コンサル | 600万円 |
| d.弁護士費用 ※注 | 500万円 |
| 計(年間) | 7900万円 |
※注 弁護士がデューデリジェンスを行った場合など。
a.人材補充費用
上場準備においては適切な人材を適切な時期に採用することが最も重要なポイントの一つであります。主なものは準備担当者の人件費と採用のアウトソーシングにおける手数料などです。上場準備段階においてはこの費用の割合が一番多く、余裕を持たせた見積が必要です。
人材補充費用における事例
企業体によって必要な人材は異なりますのでここでは事例を挙げます。必要な人員数を知りたい方は「7.公開するために必要な機関」を参照してください。
- 例:A社
- 従業員30名〜50名ほど(人件費のみ)
役員等…社長1名 取締役1名 非常勤監査役1名
管理部門…経理2名 総務1名 経営企画室1名
| 新規採用人数 | 時期 | 直前期における 費用の例 |
|
|---|---|---|---|
| 監査役 | 常勤監査役1名 | 直前々期中 | 1,000万円 |
| 非常勤監査役1名 | 600万円 | ||
| 取締役 | 1名(CFO) | 直前々期中 | 800万円 |
| 内部監査人 | 1名 | 直前期首まで | 600万円 |
| 経営企画室 | 2名(内1名責任者) | 直前期首まで | 600万+400万 =1,000万円 |
| 経理 | 2名(内1名責任者) | 直前期首まで | 600万+400万 =1,000万円 |
| 総務 | 2名(内1名責任者) | 直前期首まで | 600万+400万 =1,000万円 |
| 合計 | 6,000万円 | ||
b.監査法人への監査報酬
会社の規模などにより監査法人への監査報酬も変化します。
c.証券会社への手数料
コンサルティング料として月額払いの報酬と上場後の成功報酬を見積もっておくのが一般的です。
ただし、証券会社の引受業務における報酬のほとんどは株式公開時のスプレッドという形で得ます。
- スプレッド
- 公開する会社→9億円分の株式を発行する 証券会社→9億円で買い取りこれを一般株主に9億5000万円で販売する。5,000万円が証券会社のスプレッド(手数料)となります。発行会社は引受手数料という費用が発生せず、PLの数値に影響を与えることはありません。
d.その他の外部専門支援機関を活用する場合
外部の株式公開専門のコンサルティング会社や弁護士など活用する場合にはその費用についても見積もっておく必要があります。
上場申請時に発生するコスト
上場申請期の予算に組み入れましょう。
| 上場申請期に組み入れた予算<A社の事例> | |
|---|---|
| a.上場審査料 | 200万円 |
| b.上場手数料 | 700万円 |
| c.上場申請書類の作成費用 | 1300万円 |
| 計(年間) | 2200万円 |
a.上場審査料
東京証券取引所は200万です(予備審査料も同額)。その他の取引所においては100万円です(予備審査料も同額)。
b.上場手数料
取引所によって違いはありますが、新興市場においては500万円〜1,500万円ほどを見積もります(上場株数によります)。
上場手数料について(上場後も年間手数料として引き続きます)
| 取引所 | 東京 | マザーズ | ヘラクレス | 大阪 | 名古屋 | ジャスダック |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 定額部分 | 1,200万円※1 | 100万円 | 400万円 | 500万円 | 300万円 | 新規上場料 …600万円 上場管理料 …上場株数により72万円〜132万円の6段階に分かれています。 |
| 定率部分 (1単元につき) |
1.上場申請に係る公募 株数×価格×1万分の9 |
※2 | 30円 (上限1,500万円) |
26円 (上限1,700万円) |
||
| 2.上場申請に係る売出し 株数×価格×1万分の1 |
||||||
※1 東証においては直接1部上場のみ1,500万円です
※2 上場時の時価総額により、定率部分25万円〜1,300万円までの15段階に分かれてります。
c.上場申請書類の作成費用(いずれも、会社の規模によって差があります)
- 上場申請書類(Iの部、IIの部)の印刷代
- 有価証券届出書、目論見書等の印刷代
- IR資料(会社説明書や各種説明資料)の印刷代
- 株券印刷費用
- 公告・広告費用
上場後に継続的に発生するコスト
a.株式事務代行費用
株式事務代行費用が発生します。
b.その他
監査費用、株主総会資料の印刷・招集通知の発送費用、ディスクロージャー関係の費用、取引所年間上場費用(上記上場手数料)、IRに関する費用などが発生します。
