上場のための目標となるスケジュールを明確にするためにはまず事業計画を策定する必要があります。事業計画についてはローリング式にその時の現状と照らし合わせて改定していくことが重要です。

利益計画の重要性
株式公開を考えたときにスケジュールを考える上で最初の作業が利益計画の策定になります。客観性を持たない精度の低い利益計画を基に資金調達を行ったり、上場準備を始めたりすると、最終的には資本政策で失敗したり、上場準備が延期するケースも多々見受けられます。
従いまして、上場準備計画を立てる上での基本的な判断基準となる利益計画は初期の段階ではできるだけ精度の高いものを策定する努力が必要となります。
事業計画の策定
事業計画書の中で説明すべき項目の概要は下記の通りです。ポイントは現状の会社を取り巻く環境、外部環境、内部環境を適切に認識し分析できているかどうかです。
- 事業計画策定ガイド
- まずは事業計画書の雛型サンプルをダウンロードしてください。
事業計画書雛型[147KB]- 下記の事業計画書概要に沿った雛型となっております。
事業計画書はかなりシンプルな体系となっておりますが、重要なのは誰もが理解しやすい、魅力的な計画書です。定期的に分析を行い改訂していく作業が重要となります。
1.会社概要
ポイント
会社所在地、URL、代表者名、従業員数など基本的な会社の情報についてはもちろんのこと経営理念についても記載すると良いでしょう。株主構成についてもここで説明する必要があります。
2.会社沿革
ポイント
会社沿革は企業の生い立ちを確認するためのものです。形式的なものではなく、より会社の生い立ちや成長が分かるように描く必要があります。どのような歴史を経て現在に至っているのかについては金融機関が最も知りたいことの一つです。
例えば、どのようなきっかけで誰と起業したのか、経営が困難な時にどのように乗り越えたのか、どのように認められたのかなどのストーリーを綴っていくと効果的です。
3.役員の状況
ポイント
企業経営を行う経営陣の経歴についても金融機関の知りたがる重要な要素です。この会社がどのような経営体制で事業活動を行っているのかを大まかに知る上で最も有効です。どのような観点で確認するのかといいますと、「管理系、技術系、営業系の役員がそれぞれいてバランスが非常に良く取れている」、「監査役には業界に詳しい弁護士や会計士がいる」、「役員は以前にもこの業界で仕事をしていて成功体験がある」などが挙げられます。
4.組織図
ポイント
現状どのような組織体制で事業活動をおこなっているのかを組織図を通して説明します。各事業部における人員の配置についても分かるように組織図上で説明すると良いでしょう。管理体制についての状況や営業体制、開発体制などの概況を知ることができるので経営体制を理解する上で重要な項目に当たります。
5.事業内容および事業別利益計画
ポイント
事業内容について説明する項目です。読み手に分かりやすく、事業についてより具体的にイメージできるような内容にする必要があります。また、事業そのものに成長性を感じられるようなものにする努力も必要です。事業の説明の課程でこの会社が具体的にどの方向を目指しているのかというのが理解される事業説明であれば申し分ありません。
必要なこと
- (1)事業の全体像(事業系統図)
- 事業活動の全体像を説明する。
- (2)商品、サービスの特徴について
- 端的に事業の特徴や強みについてアピールする。
- (3)セグメント別事業説明
- 事業セグメントごとの詳細な説明をする。
- (4)セグメント別利益計画
- 事業セグメントごとに3ヵ年の利益計画を立てる(詳細は利益計画策定のポイント)。利益計画策定の根拠となる説明も必要です。
- (5)セグメント別実績
- 最後に参考資料として、事業セグメントごとの実績を紹介する。
6.業界動向
ポイント
経営陣が業界の動向について数値をもって説明できなければなりません。また、業界の動向を示す上で貴社の「5.事業内容」で説明した事業が戦略上、業界の動向に反していないか、もしくは市場性があるかなどが重要な点になります。
数値を持って、客観的な評価が求められます。加えて競合他社の分析を行うことで貴社の強みや特徴についての比較対象になります。
必要なこと
- (1)業界の見通し
- 各種レポートや業界別審査辞典などで貴社の成長性を裏付ける数値を見つける必要があります。
- 参考HP:http://www3.keizaireport.com/

- (2)競合他社
- 貴社の競合他社について、売上、利益規模、重要となる指標、商品、サービスの内容などについて比較分析を行います。上場企業に類似企業が存在しなければ帝国データバンクなどで独自に競合他社との比較を行ってください。
- 参考HP:https://info.edinet.go.jp/EdiHtml/main.htm

- おすすめする有効な手段
- 茅場町の証券会館で大量のアナリストレポートを入手することができますので該当する業種のレポートをいくつか集めて、アナリストが注目している指標や内容について確認されることをお勧め致します。
7.経営分析
ポイント
「5.事業内容」「6.業界動向」を総括して貴社の経営分析を行います。手法としては様々ありますが、代表的なものはSWOT分析と呼ばれるものです。強み、弱みの部分は過不足なく客観性のある評価を行う必要があります。
必要なこと
| SWOT分析 | 外部環境 | ||
|---|---|---|---|
| 機会(Opportunity) | 脅威(Threat) | ||
| 内部要因 | 強み(Strength) | 積極的攻勢 | 差別化戦略 |
| 弱み(Weakness) | 段階的施策 | 専守防衛または撤退 | |
8.全社的利益計画
ポイント
最後に「5.事業内容」の中で説明したセグメント別利益計画を全社的な利益計画に組替えて、本社計上している販売管理費などを加えていきます。策定の具体的な方法は利益計画策定のポイントにて。重要な点は利益計画の策定根拠について簡潔に且つ説得力のあるものを策定するということです。
必要なこと
- (1)全社的利益計画
- 3ヵ年の利益計画数値を説明します。
- (2)策定根拠
- 利益計画策定における根拠について説明します。どのような計算で利益計画を策定したのかを売上、原価、販売管理費ごとに説明します。
「9.資金調達概要」「10.株式公開について」につきましては資金調達目的のために事業計画をベンチャーキャピタル等外部機関投資家に提出する際に付けたしてください。
利益計画と整合性のとれた資本政策を十分に練った上で資金調達を行う必要があります(第3章「資本政策の策定」)。
9.資金調達概要
ポイント
今回のファイナンスの株価、株式数、払込日程、ファイナンス参加予定企業、このファイナンス以降の資金調達予定などについてできるだけ具体的に指定する必要があります。資金調達の際には資本政策の策定を行う必要があります(第3章「資本政策の策定」)。
10.株式公開について
ポイント
外部資本を入れる際にEXIT(投資回収出口)として具体的に時期、市場、調達規模、株式公開準備のための具体的準備スケジュールなどについて、どのように考えているのかを資本参加する機関投資家や外部株主に対して説明する必要があります。
