資本政策は第1章で作成した事業計画と第2章で設定した目標時期をベースに今後の必要な資金を勘案した上で作成していきます。外部の方に全てを作成してもらう経営者の方も多く見受けられますが非常に重要な項目になりますので原理原則は理解する必要があります。ここでは原理原則を理解して頂くための説明と出来る限り社長自ら資本政策を組むためのツールを用意しております。

目的別実行手段
資本政策は大きく分けて以下の6つの目的を果たすために行われます。資本政策は基本的には後戻りができませんので、大きな間違いを犯さないように慎重に行う必要があります。目的にあった資本政策の手法やルールについて最低限知っておくべきことについて簡単に説明します。
| 目的 | 実行手段 |
|---|---|
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第三者割当増資、公募増資 |
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ストックオプションの発行、株式譲渡、第三者割当増資、株式分割、公募・売出し |
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公募・売出し |
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ストックオプションの発行、株式譲渡、第三者割当増資 |
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資産管理会社、株式譲渡 |
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株式分割、公募・売出し |
| その他 | その他特殊な実行手段 |
資本政策策定の方法
それでは資本政策の叩き台を作ってみましょう!
ここでは一般的な資本政策の策定のための手順をご紹介致します。まずはエクセルをダウンロードしてください。
「第1ステップ」 〜土台となる条件を入力する〜
1.貴社の現在の状況を入力してください(現在の株主と株式数)
2.貴社の利益計画を入力してください
3.公開時のPERを入力してください
※注意 公開時のPERは公開承認後のプレヒアリング、ブックビルディングを基に検討します。詳細は「公募・売出し」へ、現時点では参考PERとして貴社と同業に近いと思われる上場会社のPER数値を入れてください。分からない方は「PERの設定方法
」参照。
「第2ステップ」 〜個別の目的を考慮した施策を打つ〜
4.公開時の発行済み株式総数を調整してください
まずは株式公開時における発行済み株式総数を調整します。例では総数を1万株前後にしております。
株式分割の欄に分割する数値を入力してください。
5.資金調達、創業者キャピタルゲイン、株式公開基準を満たすような上場時での希望公募価格、売出しを行う

-
- (1)株式公開による資金調達はどの程度行う必要がありますか?
- (2)創業者利益はどの程度必要ですか?
- (3)現在の株式総数から公開時にはどの位の株式数にしておく必要がありますか?形式基準を確認ください。
- (4)市場に流通させる株式数は形式基準を満たしていますか?形式基準を確認ください。
申請期の公募と売出しの欄に株数を入力してください。売出しを行う人は売出し株数に対応する株数だけマイナスしてください。
例では発行済み株式総数の10%程度を一般株主に持ってもらう設定で公募売出しの株数を設定しております。マザーズにおいては公募500単位以上、公募売出し合計で1000株単位以上が求められます。公募・売出しの最低株数は取引所によって多少異なります(「形式基準
」参照)。
ここからは各個別企業ごとの事情で大きく変わってきますのでそれぞれの目的別に入力してください。
6.「株式公開前に第三者割当等による資金調達を行う場合」

- 事業計画に基づいて公開前に資金調達をどのタイミングでどの位する必要がありますか?
株式公開前に調達すべき金額と時期について明確にし、ベンチャーキャピタルや事業会社などの外部機関より資金調達を行います。エクセルシートには資金調達を行う時期に株価を設定して、発行株式数を入力してください。
例では直前々期に1億円の資金調達を行っています。株価の設定はあくまで参考価格であり、実行段階でなければ確定できませんので、株価算定を参考にしてください。
7.「経営権の安定確保のために経営陣の株式比率を高める場合」

- 創業者、経営陣の株主比率はどの位を確保したいですか?あわせて、議決権詳細
も確認ください。
何%の経営権を保持したいのかを明確にし、比率を高める必要がある際にはストックオプションを発行するか、第三者割当増資を行います。
ストックオプションを付与する際には付与する時期に行使価格(時期)を設定して目的とする比率を確保できるだけの発行株式数を入力してください。行使しなければ議決権はありませんので行使時期に行使する株式数を入力してください。
例では上場時に50%以上の議決権を保持したいので社長にストックオプションを付与しています。行使価格はその前に行った第三者割当増資を参考にしております。(実行する際には株価算定が必要です)上場前に50%以上の議決権を確保したいので上場直前に全てのストックオプションを行使しております。
8.「従業員や役員へのインセンティブを与える場合」

- 従業員や役員に与えるインセンティブはどの位ですか?
インセンティブプランとして各従業員にどれくらいのインセンティブを与えるかを吟味して、ストックオプションを付与します。
例では従業員へのストックオプション付与は直前前期に入ってからの段階で行います。公開前規制期間ではないので上場してすぐに売却することが可能となっております。付与株式数は全体の2%に設定しております。
9.「役員にも議決権を与え経営参加意識を高める」

- 役員にも株主として参加し、より強い経営意識を持たせたいですか?
社長以外の取締役にも議決権を保持させてより強い経営参加意識を持たせるために株式移動または第三者割当を行います。
例では既存株主の比率を下げないために第三者割当ではなく、社長からの株式移動を行っております(実行する際には株価算定が必要です)。
10.「事業継承、相続対策を行う」

- 事業継承や相続対策を行う必要がありますか?
事業継承、相続対策のために資産管理会社を設立し、社長の株式を資産管理会社に移動します。
例では事業継承や相続対策の必要がないので資産管理会社は設立しておりません。
11.その他にも状況に応じた特殊な手法があります
「第3ステップ」〜チェック&再調整〜
最後に目的が果たされているかどうかをチェックします。資本政策は一連の流れの中で作成しますので最終的には微調整が必要になります。
その際には全ての目的が完璧に果たされることはないと思いますので優先順位を考えて調整する必要があります。ここが非常に重要なポイントです。簡単なチェック項目を記しますので確認してみてください。
- 1

- 株式公開基準は充足されていますか?
- 2

- 経営権の安定確保はできていますか?外部株主が多すぎると経営権が確保できません。
- 3

- 目的の資金調達はできていますか?公開後に必ず必要な資金は調達できるように調整しましょう。
- 4

- 創業者利益を確定できていますか?ストックオプションを行使する際の払込金額や税金を支払うための利益は売出しで確保できるようにしましょう。
- 5

- 従業員インセンティブは適正ですか?キャピタルゲインをあげすぎてはいませんか?
- 6

- 浮動株式数は適切ですか?公開時に流通させる株式数は多すぎても少なすぎてもいけません。ベンチャーキャピタルの上場時における売却株式数も考慮にいれましょう。
資本政策の確認は必ず専門家にお願いすることをお勧めします。
