コーポレートガバナンス体制を構築する上で監査役による監査制度は非常に重要な項目になります。上場審査上も監査役の実際の監査業務内容から監査役としての適格性まで確認します。

監査役監査とは
旧商法では、大会社と公開会社以外においては会計監査のみとされておりましたが、会社法施行後は規模を問わず原則として監査役による「会計監査」「業務監査」の両方を行うとされております(監査役設置会社と会計監査人設置会社を除く非公開会社については会計監査のみに限定することも可能です)。
- 業務監査
- 会計監査に関する部分を除いた業務が業務監査になります。
- 会計監査
- 会計監査人(監査法人)の行った監査は相当であるか否かについて判断する立場になります。法令・定款に従って計算書類が作成されているかなどの会計に関する業務の監査が会計監査になります。従って、会計について無知であれば判断のしようがないため、会計に関する知識が求められます。
備考 〜会計監査人、監査役、内部監査の連携
監査には監査役監査のほかに公認会計士監査、内部監査があります。監査役監査、内部監査と公認会計士監査は相互に牽制を働かせながら協力体制を敷く必要があります。関係図
をご確認ください。
監査役の選任
監査役は取締役の業務が適正に行われているかを監査する立場にあり、株主に代わって会社を見るという株主の代理人でもあります。そのため、取締役に対して牽制の働く監査役でなくてはいけません。
従って、社外監査役には利害関係のない社外監査役(※)が望ましいとされております。また、会計士、弁護士等の法律や会計について知識が深い方が監査役にいると、専門性の高い見解での助言・提言を受けることができます。役員経験者等も監査役として適任であるといえます。
選任の時期としては少なくとも直前期に入るまでの直前々期中に行います。常勤監査役についてはリクルートに困難が伴うかと思われますので早い段階から探す必要があります。日本監査役協会
では、監査役候補の方を捜すことができます。
※社外:過去において当社や子会社等で役員および使用人になったことがないもの=働いたことの無い人

- (1)経営管理の経験があるかどうか(役員経験者など)
- (2)会社法(証券取引法等なども)を熟知しており対応能力があるのか
- (3)上場会社の監査経験がある人
- (4)利害関係のない社外監査役
- (5)会計士、弁護士等の会計や法律について知識が深い人
- (6)継続的(任期満了)に監査を行える人
監査役会の設置について
会社法上で大会社(※)に該当すると監査役会の設置が必要になります。新規上場時の公募による資金調達で大会社に該当する会社が多いため、上場準備段階から実質的に監査役会を機能させておく必要があります。昨今の新興市場の諸問題により、コーポレートガバナンス体制の観点から監査役監査についても取引所審査の重点項目となっております。
※大会社⇒資本金5億円以上もしくは負債総額200億円以上の会社
- 監査役会構成メンバー
- 一般的に常勤監査役1名と非常勤監査役2名で構成されていることが多いです。
- ・常勤監査役…社内のことを熟知している人が望ましい
- ・非常勤監査役…出社日数にはこだわらないが、いつ招集等があっても対応できる状態にいる人
- ・両者において必須条件となるのは全取締役会に出席できる人であること(無欠席)
また、監査役会を設置したことにより監査役会規程に定めた期間に従って監査役会を開催し、取締役会議事録同様に監査役会議事録を作成する必要があります。監査役会にて監査役の中から常勤監査役を選任してください。監査役会を開催する時期は遅くとも直前期から行いましょう。
監査役監査の手順
- (1)監査計画の策定
- ・監査方針の決定
- ・来期の監査役監査の重要項目について決定する
- ・重点項目を念頭に監査役監査項目を決定する
- ・監査の方法について
- (2)監査役会にて監査計画の承認
- (3)監査報告書の作成
- 監査項目に基づいて行った監査結果の総評をまとめる。現状について記載し、何か改善を要することについては指摘事項として掲げる。
- (4)監査により判明した指摘事項について、取締役に報告を行い改善を促す
- また、取締役と改善策について協議・検討する。
なお、一連の流れについて監査役監査規程を制定する必要があります。
